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反脆弱性 上・下 著:ナシーム・ニコラス・タレブ

脆弱性とは著者の造語であり、脆弱性の対義語にあたるこの言葉があらゆる言語で存在しないことをまず著者は指摘している。

 そもそも脆弱とは、外部からの衝撃によって破壊されてしまう性質のことであり、対して反脆弱とは外部からの衝撃によって(たとえ一度は破壊されたとしても)より良いものへと昇華する性質のことだ。

 反脆弱が単に頑丈であることとは異なるのは、外部刺激によってよりよく改善されるところ、この概念を深く理解できるかが本書のキモである。

 著者は政治、経済、医学、ビジネス、あらゆるものに反脆弱性の概念をあてはめて説明していく。

 例えばリーマンショックのような大きな事象に対して脆弱であったのはどんな分野の職業か、あるいは反脆弱性を持った人はどのように行動したか、などなど、

 その論旨は分かり易く明快なのでさくさく読み進めて行くことで痛快な知的刺激を次々と得られる。

 今後の世界に対する見方に、新たな視座を与えてくれる本であった。

 

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